第35回定例会

日時:2007年10月18日(木)18:30~21:30

場所:サロン・ド・テ・ジュリエ

参加者:30名

1)緊急動議 議案 「日西経済友好会ホームページ作成及びその予算措置について」
2)戸門 一衛 氏 (スペイン大使館経済商務部特別顧問、神田外語大学教授、当会役員) 講演
3)ビクトル ウガルテ 氏 (セルバンテス文化センターDirector) 講演
4)概況コメント

1)緊急動議 議案 「日西経済友好会ホームページ作成及びその予算措置について」

    役員会を代表清水副会長より緊急動議として議案説明有り、ホームページを作成する事及びその費用として7万円の予算を付与する事 満場一致で承認。
    当会は会員への広報及び新会員獲得の観点よりホームページの作成が急務となっていたが技術及びメンテナンス面での体制欠如で実現に至らず懸案事項とされていた。
    今回 事務局を引き継がれた新東通信のご好意で、作成にかかわる実費コストのみで実現の目処が付いたところから 緊急動議の議案として提案に至ったもの。
    これにより会員への公報および新会員獲得に大いに効果が発揮されることを期待したい。

2)講演

講演概要

「最近のスペイン政治経済情勢」
戸門 一衛 氏 (スペイン大使館経済商務部特別顧問、神田外語大学教授、当会役員)

    今回はピンチョス料理を中心にスペイン現代料理の有名シェフとしてご活躍中のジョセップ・バラオナ・ビニェスをお迎えしての講演だったこともあり、参加者が多く席が足りない程の盛況であったが、同氏の料理哲学、こだわりの本質を聞くことが出来た。
    会長挨拶に引き続き、大濱氏の司会で、バラオナ氏の紹介(カタルーニャのレリダ出身、小笠原伯爵邸の総料理長を務め、数々の料理本を出され、最近では伊勢丹地下食品売場でピンチョスを中心とした商品販売を手掛け、日比谷で完全予約制で一日一組6~12名限定の「レ・ストゥディ」をオープン。)に始まり、在日15年の流暢な日本語でのユーモアを交えた話に参加者一同魅了された。
    1. 政治情勢

  • 鳥の目分析:民主化第一回選挙から今年は30年。完全に民主国家となったスペインの政治の特徴は、二大政党制が確立したこと、国民の政治関心度が高い事(高い投票率)、 二大政党ともその性格は包括政党で基本政策に大きな違いはないことがあげられる。
    最近の欧州保守回帰(独、仏等)の中で、スペインでは、依然左翼勢力が強い。
    虫の目分析:2008年の選挙予測。世論調査では、PSOE若干優勢。これは好調な経済が、政権与党の実績として有利に作用しているほか、積極的社会政策が好感されたこと、 党首の人気が高いことなどによると思われるが、一寸先は闇の政治世界、激変する可能性無しとせず。
    今後の課題:バスクテロ問題(対話か力で排除か)、国際貢献(アフガニスタンへの派兵継続すべきか否か)移民問題(寛容な対応でいいのか)地方分権(立憲君主制の 継続か連邦制への移行か)等がある。
    2. 経済情勢

  • 鳥の目分析:10年に及ぶ持続的経済成長で所得向上。EMU加盟後収斂政策の実行で健全財政達成などマクロ経済の安定性向上。移民流入による人口増加で潜在成長力増加。
    虫の目分析:経済成長 2007年 3.8% ,2008年 3.3% 個人消費と建設投資の鈍化で成長率は若干低下するが、堅調な設備投資が成長を牽引する主役になってきたの で健全な成長と言える。一方不動産 バブル発生及びインフレ上昇両リスクが一時見られたが、欧州中銀の金利段階的引き上げが奏功、軟着陸可能の見通し。
    今後の課題:最適通貨圏への対応(産業構造の高度化)、非対称的なショックへの対応(更なる市場開放、規制緩和、構造改革)、グローバリゼイションへの対応 (EndesaへのOPAに見られた経済ナショ ナリズムはもはやない。域内の完全自由競争はスペインにとり新たな機会でもあり挑戦でもある)
講演概要

「セルバンテス文化センター東京」 ―――日本に於けるスペインの存在感 更なる飛躍に向けて
ビクトル ウガルテ 氏 (セルバンテス文化センターDirector)

    今年9月、日本に開設されたセルバンテス文化センターの初代所長ウガルテ氏は、1963年バルセロナ に生まれ、バルセロナ大学で美術史を修めて後、 更に金融経済を学びスペイン民間企業の財務担当として上海に駐在、アジアへ強い関心 もつに至った。その後スペイン外務省、Casa Asia企画調整局長などを歴任、セルバンテス文化 センター初代所長に任命されたもので、 アジア通なだけに セルバンテス文化センターの果たす役割を熱く語っていただいた。講演概要以下の通り。
    1. アジア、太平洋に於けるスペインのプレゼンス

  • 過去数百年に亘りスペインの関心は、専らスペイン語圏のアメリカ大陸に向けられていたが、遅ればせ乍最近に至り漸くアジア太平洋地区を重視、 そこにおけるスペインのプレゼンス推進政策が展開される運びとなった。
    この政策のアクションプランとして、大使館を置いていないアジア地域に大使館や領事館を設置する一方、セルバンテス文化センターをアジア各地に開設する動きとなった。
    具体的には10年前マニラに開設、昨年は北京、今年はニューデリー,ソウル、来年はシドニーを予定。東京への設置は、当センター創設当初より懸案ではあったが、当時のバブル 経済の最中、コスト的に厳しく諸般の事情で今年の9月になった。 但し床面積4300㎡の東京センターは、世界中のセルバンテス文化センターの中で最大規模のもの。
    2. セルバンテス文化センターとは

  • セルバンテス文化センターは1991年創設され、スペイン中央政府外務省に所属する国の機関にて、スペイン語の普及及びスペイン語圏文化の普及をその目的とする。
    スペイン文化だけでなくスペイン語圏文化の普及としているところに他とは違う大きな特徴がある。
    文化大臣に任命され初代長官の後を次いで、今年7月に就任した現長官は当文化センター網の拡大を最優先課題に掲げ、世界中で14万人の現生徒数を5倍に増やすことを長期目標とする一方、 TVE国際放送と提携し、世界中にスペイン語講座を放映する運びとなった。
    3. 東京のセルバンテスセンターはいかなる活動をするか、

  • * スペイン語教育
  • 鳥の目分析:民主化第一回選挙から今年は30年。完全に民主国家となったスペインの政治の特徴は、二大政党制が確立したこと、国民の政治関心度が高い事(高い投票率)、 二大政党ともその性格は包括政党で基本政策に大きな違いはないことがあげられる。
    最近の欧州保守回帰(独、仏等)の中で、スペインでは、依然左翼勢力が強い。
    虫の目分析:2008年の選挙予測。世論調査では、PSOE若干優勢。これは好調な経済が、政権与党の実績として有利に作用しているほか、積極的社会政策が好感されたこと、 党首の人気が高いことなどによると思われるが、一寸先は闇の政治世界、激変する可能性無しとせず。
    今後の課題:バスクテロ問題(対話か力で排除か)、国際貢献(アフガニスタンへの派兵継続すべきか否か)移民問題(寛容な対応でいいのか)地方分権(立憲君主制の 継続か連邦制への移行か)等がある。
  • * スペイン語教育
  • 鳥の目分析:民主化第一回選挙から今年は30年。完全に民主国家となったスペインの政治の特徴は、二大政党制が確立したこと、国民の政治関心度が高い事(高い投票率)、 二大政党ともその性格は包括政党で基本政策に大きな違いはないことがあげられる。
    最近の欧州保守回帰(独、仏等)の中で、スペインでは、依然左翼勢力が強い。
    虫の目分析:2008年の選挙予測。世論調査では、PSOE若干優勢。これは好調な経済が、政権与党の実績として有利に作用しているほか、積極的社会政策が好感されたこと、 党首の人気が高いことなどによると思われるが、一寸先は闇の政治世界、激変する可能性無しとせず。
    今後の課題:バスクテロ問題(対話か力で排除か)、国際貢献(アフガニスタンへの派兵継続すべきか否か)移民問題(寛容な対応でいいのか)地方分権(立憲君主制の 継続か連邦制への移行か)等がある。
  • * カタルニア語教育
  • スペインは多言語国家でもあるので、カタルニア州の公用語のクラスも近々開設予定。
  • * スペイン語圏文化普及 在日中南米諸国の大使館、文化センターと提携しての文化普及活動を推進。 来年は「アルゼンチンの春」と題してのアルゼンチン週間、秋にはコロンビア週間を予定、夫々の国の映画、文学、舞踊等を紹介。
  • * 170名収容の講堂の活用 スペイン文化紹介のため来年からは毎週、スペインの文化遺産、歴史、科学、 スペイン料理に至るまで幅広い分野の各種セミナー、講演会、 映画、舞踊、演劇、コンサート,ファッション等のイベントを計画。
  • * 展覧会 古典作品は勿論、日本で知られていない若い優秀なスペインの芸術家達の作品を紹介。
  • * 教員養成コース 各種のスペイン関連の協会や学校でスペイン語を教える教員養成講座を設置。
  • * 児童対象の文化普及活動 近隣の学校児童を対象に土曜日、文化センターで、スペインの童話を紹介する一方、 小学校に出向きスペイン文化を紹介し子供の頃から スペインに親しんでもらう。
  • * 図書館 スペイン文学等蔵書4万冊を擁するアジア最大のスペイン関係図書館として開館予定。
  • * 売店 スペイン語関係書籍の販売。(開店済み)
  • * レストラン Tapas 等も供するレストランを開店予定。
    4. 日本に於けるスペインの存在感

  • その更なる飛躍へ向けて セルバンテス文化センター東京の正式な開所式は、来年フアンカルロス国王夫妻ご臨席の下 行われる予定。開所式に国王ご夫妻がご臨席なさるのは初めてのことでその意義は大きい。
    スペイン語は、21カ国、約4億人の人々の母国語で且つ米国には4千万人のスペイン語系住民が居り、今や最も拡大成長している言語といえる。
    従って、米国で企業活動するにはスペイン語の知識は必須である事は勿論、急成長著しい中南米、就中メキシコ、最近FTA協定を結んだチリーと日本との 経済発展にも不可欠で、日本に於けるスペイン語の必要性は益々高まってきている。
    然しながら未だ言語の壁が、これら諸国との経済発展の大きな阻害要因になっていることは確かで 当文化センターの活動で、スペイン語のできる 日本人が増えてくれば、日本の発展に寄与するだけでなく、有力スペイン企業も日本へ進出しやすくなり、日本に於けるスペインの存在感を一層高めることになろう。
    これに伴いスペイン語の需要が更に増えてくれば、将来 第二のセルバンテスセンターの開設も展望することにしたい。
    5. 質疑応答

    1. 児童対象の文化普及活動を言及されたが 大学を対象としたプロジェクトがあれば伺いたい。
    1. 当然存在する。当センターが開設された地域では何処でも、必ず地元大学と恒常的協力関係を結んでいる。例えばドイツでは当センターの講師が大学へ出向きスペイン語を 教授しているし逆に、 スペイン語教師が少ない地域では、大学の先生が、センターに来てスペイン語を教えている。大学のスペイン語学科も我々も同じ船に乗っている訳だから、 共同のスペイン語研究、 合同会議、場所の共有使用などの協力関係を築いていく所存。
      スペイン語文法、スペイン語カリキュラムをセンターでは統一しているので、これの共有 も考えて行きたい。

3)概況コメント

    今回は、緊急動議、政治経済解説、そして講演と盛りだくさんの例会であったが、総司会の清水副会長、解説と講演のコーデイネイターを 勤めていただいた戸門両氏の見事な進行振りで過不足なく時間内に充実し内容で締めることが出来た。
    例会には、スペイン大使館経済商務部よりAgregada ComercialのほかBecario達も参加したので、懇親会は、先ず田中会長がAmparo Campa新任Commercial Attache を会員に 紹介して後、恒例の乾杯の音頭で開始。
    ウガルテ館長や 若いBecario達も積極的に会員の輪に入り、スペイン政治経済やセルバンテスセンターをテーマに会話が弾み、将にHinchasの会の面目躍如たるものがあった。
    以上
    (文責 澤木)