第49回定例会(第12回総会)

日時:2010年7月26日(月)18:45~21:30

場所:カフェ・ジュリエ

参加者:21名

1) 総会
2)ルイス・アルベルト・アルバレス・シルバ 氏(ジャーナリスト)  講演
3)概況説明

1)総会

  • 澤木副会長を議長に選出、活動報告・計画を清水副会長が説明、会計報告・予算を田林理事が説明、以下議案が承認された。
     第1号議案 2009年度活動報告及び決算の承認
     第2号議案 2010年度活動計画及び予算の承認
     第3号議案 2010/2011年度役員(現行役員及び新役員関口清氏)の承認

2)講演

    ルイス・アルベルト・アルバレス・シルバ 氏(ジャーナリスト)
    「日本に於ける中南米社会の今後の方向」
講師略歴
  • ペルー出身のジャーナリストで、1991年来日後、NHKスペイン語ニュース、SkyPerfect中南米ニュース等を担当後、現在はInternational Pressの編集長として活躍している。International Press紙は在日中南米社会の人達を主に読者対象としているところから、彼等にとっての大きな問題、いかにして日本社会と交流するかに焦点をあてて話しをされた。
講演概要
  • 黒田教授は、日本スペイン法研究会会長として、最近も『現代スペイン法入門』を同会・サラゴサ大学法学部・Nichiza日本法研究班の共著で上梓するなど、この道の権威としてご活躍中ですが、昨年4月より、一年間スペインにご滞在、現地の大きな変化に直に触れたご自身の体験を踏まえた形で、最近のスペインの状況、特に「男女平等法」、「歴史記憶法」(フランコ時代に迫害を受けた人達の復権・補償を目的としたもの)に付いて、分かり易く説明して頂いた。
    1.在日中南米社会(スペイン語系住民)の規模

  • 最新の公的数字によれば次の通り。
     ペルー人  約57,000人
     ボリビア人   6,500人
     アルゼンチン人 3,700人
     コロンビア人  2,800人
     スペイン人   1,000人
     メキシコ人   1,900人
     中米その他   5,386人
  • 総数約8万人に上るスペイン語系住民が居りこれは、アジアの中で最大規模である。 更にブラジル出身者270,000人を加えると、在日中南米社会の規模は約40万人に達する存在となる。
    2.スペイン語系中南米社会の実体

  • 60%強を占めるのは、ペルー出身者で、彼等の大半は100年ほど前にペルーへ移住した日系移民の子孫である。20年ほど前、最初に日本へやってきた彼等は、ペルーで高等教育を受けていたので容易に職場環境に同化し、仕事上の指示も理解する能力を有していた。
    然しながら 1990年代、スペインが中南米の最大投資国になると、スペインと言語、文化を共有しているとの思いから特に高等教育を受けずに、先に移住した知人親戚縁者を頼って日本へやって来る人が、ほとんどの状況にある。
    3.日本社会との交流

  • 彼等スペイン語系住民は、彼等の言語であるスペイン語と彼等の文化をそのまま保持したまま日本へ来ているので、独立記念日や宗教上の祭りも忠実に日本で行っている。
    当初これらイベントは、彼等の間だけのものであったが、最近の例で、神戸、新宿、新木場で行われた、ペルー独立記念日ナショナルデイには日本人参加者数が、中南米出身者を上回るほどの状況になっている。
    また中南米情報や産物を手配する発信スポットは、日本にある中南米系レストランが担い、日本人には目に付かないものの、その数は700箇所にも及んでいる。
    そこで スペイン語或いは中南米文化を使って日本社会との交流が出来ないか、皆さんの意見、アドバイスを是非 伺わせて頂きたい。
    -質疑応答-

  • P. 在日中南米社会と日本との関係という意味では、スペイン語系の人だけでなくブラジル系も含めて考えるべきではないのか。
    R. そうかもしれない。MERCOSURはブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイをメンバーとする経済同盟だが、これより以前に、日本ではブラジル出身とペルー出身者が日系という共通点で結ばれていた。

    Q. ナショナルデイのイベント参加者の半数以上が日本人ということだが、どのような日本人なのか。歌や踊りに参加するのであれば、若い人と思うも、この種イベント情報が、日本のマスコミでは全く報道されず、International Pressに限られている点発展性に問題なきや。
    R. 中南米音楽サルサを生で聴きたいと思えば、web siteで検索し探し当てる事が出来るので、物理的手段がなくてもIT手段で補う事が出来ると思う。
    P. IT手段で集まってきた人を、どうするのか。ただ集まって帰ったというだけなら余りにも刹那的でないのか。
    R. 将にその点を教示願いたい。この種イベントを毎月開催するとか言う事だろうか。
    自分の経験では、日本の学校はとても家族的雰囲気なので、子供を通じ、自国文化を紹介する機会もあり、交流の最高の場になっている。

    P. 講演テーマと関係ないが、フジモリ元大統領は、インデイヘナの人権を認めたペルー史上最初の大統領と思うが、どのように評価するか。
    Q. 彼は中国系で日系ではない。ペルー社会では、白人富裕層の居住区にインデイヘナが入り込んでくれば大変な問題になる。彼はこれを一緒にしようとした。権力欲から、国民の意思を代表する議会を無視し警察力に頼った男だ。

2) 概況説明

  • 今回の講演、日本に於ける中南米社会の問題は、今日的テーマとして興味あるところであり、聊か問題丸投げの感はあるが、却ってそれだからこそ 懇親会の場で参加者の多くが講演者と積極的に意見交換できたのではないかと思う。
    願わくば、中南米ジャーナリストの立場から、いま少し中南米社会と、それに対応する日本社会の問題点を分析しそれを明快な形で提示されたなら、より建設的な意見交換が出来たことだろう。
    いずれにせよ、問題提起という意味で評価できる講演であったと思う。

以上
(文責 澤木)