第62回定例会(第15回総会)

日時:2013年5月29日(水)19:00~21:30

場所:カフェ・ジュリエ

講演:アントニオ・ヒル・デ=カラスコ氏(セルバンテス文化センター東京館長)

  「Pesadillas de un Director de Cervantes en el Txtremo Oriente」
(極東に使いするセルバンテス文化センター館長の心配事)

講演原稿(スペイン語)
総会資料

講演概要

- 9ヶ国語話せるが日本語は難しい。セルバンテス文化センターは1991年の設立時から携わっている。
AULA(語学教室)もセンターに属しており、韓国のAULAも日本の管轄下にある。

- 1992年イギリスに転勤、イギリス人から見るとスペイン人は、フィエスタ、ワイン、時間を守らないと言われるが、自分は違う。
マンチェスター大学学長から、スペイン語文化に寄与したということで、名誉博士号を授与されたが、価値を認めてくれて嬉しかった。

- アラブ諸国では、エジプト、シリア、レバノンに勤務、更にイスラエルにも勤務したため、スパイではないかと疑われたこともある。
アラブ諸国では、グラナダ、コルドバ等アラブの影響を受けていることもあり、スペイン文化がよく受け入れ、スペイン語の普及はやり易かった。

- イスラエルにはセファルディと言うスペイン系ユダヤ人が住んでおり、古いスペイン語を話せて、それが汚されるといけないので英語で話してくれと言われた。
ユダヤ人は長い歴史の中で迫害されたと思っている人達がいるが、基本的には好関係にあり、非常に仕事がし易かった。

- トルコはフェリペ2世の時のレパント戦等、歴史上の問題あり、好関係を築くのに時間が掛かった。
アンダルシアにはモリスコスの人々も住んでおり、現在は友好的な関係にある。

- 日本は漢字文化ということもあり、非常に遠い国と思っていたが、日本に着いてみたら、静かで交通渋滞もないし、ほっとした。
焼き鳥屋はスペインのバルと似ていて、良い意味で騒がしく、非常に親しみを感じた。
フラメンコにはドェンデ(神秘的でいわく言い難い魅力)という言葉があるが、スペイン以外では初めてドェンデのある人達がいると感じた。
マスクをしている人が多いので驚いたが、自分のためでなく、他人を思いやってとのことで更に驚いた。

- 「日本とスペインの歴史」
1549  ザビエル来日。
1609  スペインのガレオン船が遭難、御宿に漂着。
1613  慶長使節団。今年は400周年を迎える。
1878  外交関係始まる。
1949  東京外国語大学スペイン語学科設置。
1992  バルセロナ五輪。     セビリア万博。

- 「セルバンテス文化センターが日本に出来た背景」
他の欧州各国は、ブリティッシュ・カウンシル、ゲーテ・インスティテュート、イタリア文化会館等を設置していたが、それまでスペインは何も設置しておらず、スペイン語普及を目的に設立した。
一口にスペイン語を話すと言っても、スペイン語を話す人口は、メキシコが1億人で一番多く、次いで米国、コロンビアで、スペインは世界4位である。
世界中にセンター設立、世界的にも通じる教育法を確立。
スペイン語を母国語とする人口は中国語に次ぐ世界第2位。
インターネット言語では第3位。
米国でも2030年にはスペイン語を話す人口が英語を上回ると予想されている。
フィリピンでも、スペイン語を公用語としようという動きがある。

(組織)
名誉会長はフアン・カルロス国王。
理事長は首相、会長は各省の副大臣級。
外務省に属しており、大使館と協力しながら活動。
スペイン語文化を普及するため、他のラテンアメリカとも協力しており、この点で大使館文化部とは異なる。
世界78ヶ所にセンターがあり、それとは別に11ヵ所にAULA(語学教室)がありセンターに所属、ソウルのAULAは東京センターに所属している。

(主な活動)
語学教室、スペイン語検定、ラテンアメリカ関連のイベントに参加。
スペイン語を勉強する人の数を増やす。
東京センターは2007年に設立。結局、大使館の外に設置、大使館内という枠に囚われず、ラテンアメリカ大使の方々とも緊密に接触、一歩踏み出すために活動出来ている。

(文責:清水)